GUEST

株式会社A-Sketch 取締役 副社長

村山 直樹さん

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ユニバーサル ミュージック合同会社/セールスマーケティング/デジタル戦略本部 本部長兼 ソーシャル・ラボ室長 兼 セールス本部 キーアカウント・プランニング/アドバイザー

鈴木 貴歩さん

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R 1-1 ユニバーサル ミュージックのミッションを担って


テーブル古橋:本日は、二人のゲストをお迎えしての「出張テーブル」です。鈴木さんには、USを中心とした世界ナンバーワンのレコード会社、ユニバーサル ミュージックからお出でいただきました。

ユニバーサル ミュージック 鈴木さん:
私は日本におけるセールスマーケティング、中でもデジタルに注力しています。この世界はとても動きが早くて、ダウンロードが普及してきたと思ったら、今度はサブスクリプションサービス(定額聴き放題)と、サービスモデルも流動的です。

しかし私たちが良いサービスを提供できれば、お客様に適正な対価を払っていただけて、市場が拡大する。アーティストに還元できて、良い音楽が生まれてくる。そういう良い循環を、デジタルの世界でつくっていくのがミッションですね。

テーブル古橋:(名刺を拝見しつつ)この「ソーシャル・ラボ室長」というのは…

ユニバーサル ミュージック 鈴木さん:
あ、これは1月1日付けで加わった肩書きで、なにやら時流に乗った名称ですが…(笑)、今や音楽ビジネスのあらゆる側面でソーシャルは欠かせません。弊社は各レーベルの独立性が高いので、全体に横串を通してデジタルマーケティングやソーシャル活用のノウハウを底上げし、売り上げに繋げていくのがこの部署の役割です。

私の役割としてはもうひとつ、CDショップさんとのやり取りを行う、POPや販促ツール、ポスターや棚…それらを手配する部署のサポートで、会社全体の総合的なアプローチを推進する立場にいます。

株式会社A-Sketch 取締役 副社長

村山 直樹さん

A-Sketch 村山さん:
私が補足するのもなんですが、鈴木さんのところは今、業界で一番進んでいると思いますよ。体制面やスタッフ面含めて、抜きん出ていると思います。



R 1-2 業界の風雲児、A-Sketch


テーブル古橋:村山さんの立ち上げられたA-Sketch(エースケッチ)は、音楽配信ビジネスの雄として、業界に鮮烈に登場してきました。

A-Sketch 村山さん:
A-Sketchは、ユニバーサル ミュージックとは正反対のとっても小さなレコード会社で、本当に少人数でやっています。名前がちょっと不思議なんですけど、これは(母体になった)auのAとAmuseのA、それにArtistとAudienceのAなんですね。アーティストとオーディエンスにとってハッピーな会社にしよう、白いキャンバスにそんな未来を描いていこうというのが由来です。

そういう志で4年前に立ち上げたんですが、直近では考え方の修正もありまして、例えば配信は、最近ではそんなに伸びなくなっている。ですから、パッケージを売るためのデジタルのあり方なども含めて全体のコミュニケーションプランを考えなければいけないと思っています。

テーブル古橋:新しいビジネスモデルの先駆者として、ソーシャルに関しては現在、どのようにお考えですか?

A-Sketch 村山さん:
なにより、コンテンツが強いかどうか。これが大きいですよね。もしくはライブでの体験や共感であるとか。我々のアーティストの売れ方を見ていても、そういうことを感じる事例が増えてきているんですね。

色んな分析をしてみると、ソーシャルパワー、ライブパワーとの関わりがいよいよ明確に出てきている印象です。それらを深く掘り下げていくと、これからの音楽のあり方も変わっていくでしょうし、その辺に注力しているのが今のA-Sketchのあり方ですね。



R 1-3 ソーシャルの「今」を見つめる


テーブル古橋:鈴木さん、ソーシャル・ラボという組織がユニバーサル ミュージックで立ち上がったのは、どういう経緯だったんでしょう? トップダウンか、ボトムアップなのか…

ユニバーサル ミュージック合同会社
セールスマーケティング
デジタル戦略本部 本部長
兼 ソーシャル・ラボ室長
兼 セールス本部
キーアカウント・プランニング
アドバイザー

鈴木 貴歩さん

ユニバーサル ミュージック 鈴木さん:
ボトムアップに近いですね。カンファレンスなどで他業種のソーシャル/デジタルマーケティングの先進事例に触れますと、非常にロジカルで定量的だなと。自分も前職はメディア関係でしたし、そうした色んな角度から会社を見つめた時に、レコード会社 ―弊社は「音楽サービス企業」と謳っているんですがー 自分たちの企業のDNAに、そういうアプローチを刻み込んでいかなければいけない。

そんな思いのもとに、「ソーシャル」「SEO」「CTR」「CVR」といったナゾの言葉を駆使していましたら、「鈴木、お前やれ」と。「任せたぞ、推進してくれ」ということで、ありがたく…(笑)。

テーブル古橋:始動にあたってのエピソードといったものは…。

ユニバーサル ミュージック 鈴木さん:
まだまだ動き出したばかりで…極端な話、SEOひとつ取っても万全ではない。去年で言えば、世界で何千万枚も売れたNIRVANAのアルバム “Never Mind” の発売20周年だったんですね。全社をあげて盛り上げようということで、googleで検索してみると、6番目くらいに表示される。これはイカンと。部署と話をして、こまごま調整すると、あっという間に1位になるわけです。

そういう風に小さな成果をすぐに見せつつ、他業種の先進事例やケーススタディを参照しては、社内にそれらの思想やフレームワークを取り込むことを進めています。

テーブル古橋:村山さんの方では今、ソーシャルをどのように捉えていらっしゃいますか?

A-Sketch 村山さん:
所属アーティストで言えば、例えばONE OK ROCK(ワンオクロック)はfacebookページを持っていまして、お陰様で「いいね!」が80,000を超えたのかな?

テーブル古橋:80,000!凄い数字ですね…

A-Sketch 村山さん:
海外からのアクセスも結構あるんです。日本発信の小さなレコード会社ですけれども、ソーシャルならグローバルにリーチできる。youtubeも活用できますから、PVをアップすれば、何百万再生ということが勝手に起きる。そういう時代をいかに認識しつつ、対応して行くか。

後はね、ソーシャルへのパワー。この原点がライブにあるなということを、最近、強く感じています。



R 1-4 ライブの力、オーディエンスのパワー


テーブル古橋:村山さんは、頻繁にライブに足を運ばれていますよね。

A-Sketch 村山さん:
やっぱりライブに行ったときの「つぶやき」の度合いって、単なるポジワード以上の強い発進力があるじゃないですか。ネガだのポジだの言ってる場合じゃないくらいの。そういうパワーが、時代の起点になりつつあるなと。

ですから今更ながら「ライブをしっかりやろう」。お客様に反応していただけることをやっていくべき時代だと。当たり前の話ではありますが、一層まざまざと感じるようになっています。

テーブル片桐:やはり足を運ばれるというのは、ご自分で実地にライブを観て、それに対するつぶやきをみて、それらを対比されるということですか?

A-Sketch 村山さん:
ええ、もう本当に必死に観ていますね。で、ライブ終わった瞬間、皆さんもう凄いですから、本当にびっくりしますよ。つぶやきの量も質も、ライブ次第で絶対に跳ね返ってきます。それをまたフォロワーの方々が気にして、検索順位が上がったり…確実にそういう循環になってきている。なかなか計算できるものじゃないから、そこは難しいんですが。

テーブル片桐:思いを共有したいとか、みんなどう思ったんだろう?とか。どこに蓄積されるでもなく、どんどん流れますけど、確実に自分の中には「残る」んですよね。つぶやきを共有した感覚が。

A-Sketch 村山さん:
そうそう。

テーブル片桐:それがポジティブなフィードバックになっていくというのは、一ユーザとして非常に理解できます。

テーブル古橋:一方で、ユニバーサル ミュージックのような大企業では、ソーシャルの捉え方はどういうことになっていますでしょうか?

ユニバーサル ミュージック 鈴木さん:
やはりすごく重要なことになっていますね。ただ、取り組みの方法やレベルが一様ではなくて、グローバルもローカルもある。アーティスト個人の取り組みから、レーベルのバックアップまで、様々です。

一番わかりやすい例は、レディー・ガガでしょうか。FBの「いいね!」も、twitterのフォロワー数も世界No.1レベルですが、それらを巧みに使うアーティストが出てきたことが、やはり大きなカギになっていますよね。オーディエンスとのコミュニケーションを、意識的、かつ自然に行っている。この21世紀にヒットする、ひとつの要因なのかなと。

「消臭力」のCMのミゲルくんが、youtubeで人気が出て日本のユニバーサル ミュージックと契約したりと、最近は火の付き方や経路も、すごく多様化してきていますね。

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