GUEST
大和ハウス工業株式会社 総合宣伝部 デジタルメディア室 室長
大島 茂さん
住友林業株式会社 住宅事業本部 営業推進部 営業戦略グループ マネージャー
小川 隆信さん
R 2-1「今は買わない人」がお客様
テーブル古橋:本日は、お二人のゲストをお迎えしての「出張テーブル」です。まずお一方、ゲストにお迎えしたのは、大和ハウスの大島茂さんです。大和ハウスといえば「住宅業界の最大手」というイメージですが、会社紹介がてら、簡単な自己紹介などいただけましたら…
大和ハウス 大島さん:
住宅メーカーのイメージが強い大和ハウスですが、売上的には、実は3割くらいなんですね。賃貸住宅や店舗、ホテル、ホームセンター…生活に関わる、多種多様なことを行っています。その中で、私は2007年から総合宣伝部に在籍しておりまして、ここ5年程、総合宣伝部のデジタルメディアの責任者です。
テーブル古橋:ありがとうございます。今日は大和ハウス様、ひいては大島様が考えるお客様とのコミュニケーションについて伺えるということで、楽しみにやってまいりました。現時点での取り組みや思いなど、お聞かせ願えますでしょうか。
大和ハウス工業株式会社 総合宣伝部
デジタルメディア室 室長
大島 茂さん
大和ハウス 大島さん:
私たちの考えるお客様像からすると、「今、この時点で家を買おうとしている方」というのは、本当に一部なんです。そういう方々には営業マンが接していて、やはり現場が一番強い。デジタルに求められるのは「今、住宅を買おうとは思っていない人」とのコミュニケーションなんですね。
お客様といっても細かく段階があって、今現在、全く住宅に興味がない方もいれば、そろそろ建てようかという方、ご契約済みの方、最近オーナーになっていただいた方…それぞれコミュニケーションは変わるべきだろうと。
大和ハウスの本体サイトは「住宅を検討し始めた」くらいの方を想定していて。既にオーナーになってくれた方には、オーナー向けサイトやコミュニティサイトを設けています。
そうなると「まだ住宅について全く考えていない方々」とのコミュニケーション。この部分で、ソーシャルメディア、特にFacebookが使えるんじゃないかと考えたんですね。ところが実際に運用してみたら、意外とオーナーの方々が支持してくださったりですとか。意外ですが、ありがたい発見がある…といった状況です。
テーブル古橋:なるほど、興味深いですね。ありがとうございます。
R 2-2 販促とWebをかけあわせる
テーブル古橋:もうお一方のゲストは、住友林業の小川隆信さんです。住宅にとどまらない住友林業の業態と、その中での小川さんの役割など、お聞かせ願えますでしょうか。
住友林業株式会社 住宅事業本部
営業推進部 営業戦略グループ
マネージャー
小川 隆信さん
住友林業 小川さん:
そうですね。住友林業は、歴史としては320年。「木造注文住宅のトップブランド」として、木に関わる様々なビジネスを展開しています。私は入社以来3年ほど、熱帯雨林の再生等に関わりまして、住宅現場での総務担当を経て、約7年間、現在の営業推進部。この部署では、ほぼずっとWeb関連に携わっています。
テーブル古橋:住友林業様の創業は、なんと1691年ということで、お客様とも長い長いお付き合いかと思います。小川様はその歴史の最先端において、コミュニケーションについてどのようにお考えでしょうか?
住友林業 小川さん:
私は確かにWebやデジタル関連に携わっているんですが、部署の業務自体は、大島さんよりも各論寄りだと思います。というのは今のところ、ブランディングやパブリシティといった先進的なことを主目的として行う必要性はないんですね。
目的はいたって明快で、私が行っているのは、注文住宅の販売促進なんです。その後の「顧客化」ですとか、アポイントを取る、成約につなげる…そうした業務は、営業現場の営業の仕事となっています。
ですから、Webをどう使えば職務を達成できるか。その時々でどんな媒体やツールを使うのが最適なのか。そういったことを考えます。例えば、私がiPhoneアプリやiPadアプリを作ることは現段階ではないんだろうな…とか。古い話になりますが、セカンドライフには手を出さない。一時期、ちょっと流行ったでしょう?
あの時もよく「次の時代はこれです」って勧められたんですけど。私の仕事としては、これは違うかなという判断をしましたし、Web施策はすべて目的に特化して行っていますので、流行を追うようなことはしないのかなと。
R 2-3 ソーシャルとは?その活用法は?
テーブル古橋:ありがとうございます。大島さんは、Webやソーシャル等について、各所で講演をされていらっしゃいます。私自身は何度か拝聴していますが、本日は出張テーブルということで、改めてお伺いできましたら。
大和ハウス 大島さん:
耐久消費財の購買というのは、口コミの占める割合も大きいでしょう?特に住宅になってくると、「知り合いが建てた」「近親者が建てた」というのが動機になって、「じゃあうちも建てようよ」とか「どこで建てたの?」とか。そういった話とソーシャルは、とても親和性が高いと思っています。
ただ、Facebook上で同じようなことがすぐに起きるかというと、中々難しい。それよりも、人の直接のネットワークである「ソーシャルグラフ」の方が、おそらく重要です。いかにそれをマーケティングに活用できるか、非常に興味があります。住宅を未検討の方々にも、適切なコミュニケーションが取れるんじゃないかと。
テーブル古橋:「ソーシャルグラフのマーケティング化」というのは、興味深い観点ですね。
大和ハウス 大島さん:
もともと大工の棟梁さんって、そういう世界で商売してきたわけですから。地方では未だにそうです。「大和ハウス」「積水ハウス」「住友林業」と言ったって、大手を併せてシェア20%未満。リアルな世界は口コミで商売してる人が大半なんですよ。
その中にどうやって入っていこうかと考えたときに、当然、リアルなソーシャルグラフがある。だから「ネット上のソーシャルグラフにも可能性があるんじゃないか」。それを今、試行錯誤しつつ考えているんです。ソーシャルというのは幸いコストもかからないので、細々と根気強くやっていけますし。
テーブル古橋:ありがとうございます。一方で、小川さんとしては、ソーシャルメディアをどのように捉えていらっしゃいますか?小川さんのミッションとソーシャルとは、どのように関わるのでしょうか。
住友林業 小川さん:
私は昔から、youtubeですとかブログ、ミクシィなどを、どう使えばいいんだろうとずっと考えてきました。Facebookが来て、Google+も来て、考えることは増えますけれど、なかなか答えが見つからない。Youtube等も、活用法があるんだろうなと思いますけど。目的はあくまで販売促進ですから、その一点に絞って考えているんですけど。
現在可能性があるのは、非常に単純ですが人事採用、もしくは広報活動やニュースリリース。弊社でいえば「きこりん」というキャラクターも認知されていますから、その辺りで適切に使っていく。そういったレベルですね。
弊社はSNSへの取り組みは後発だったので、対外的にどうこうの前に、社員教育が先だろうと、しっかりした社内ルールを作るところから始めました。大和ハウスさんは、SNSなどへの取り組みが非常に早かったと思うんですが。Webサイトでも、いち早く謳ってらっしゃいましたよね。
大和ハウス 大島さん:
う~ん、住宅業界では早かったかもしれないけど、世の中的には決して早いわけではないですよね。
テーブル古橋:私の印象ですと、Facebookの勉強会なども、早くから取り組まれていたなあと。
大和ハウス 大島さん:
社内では、勉強会をだいぶやりました。社員のグループを作って、全部で300人近くかな。結構有効に活用していますよ。
コメントを残す